借金を滞納すると年金も差し押さえられるのでしょうか?
1 年金を受け取る権利は差し押さえられないものもある
年金にはいくつもの種類がありますが、国民年金、厚生年金、確定給付企業年金、確定拠出年金、厚生年金基金、国民年金基金を受け取る権利は、借金の滞納を理由に差し押さえをすることはできません。
国民年金法や厚生年金法などにより、差し押え等をすることができない旨が定められているためです。
逆に、これら以外の個人で任意加入する年金(私的年金)を受け取る権利は、差し押さえの対象となり得ます。
また、かつては公的年金を担保にした貸付けが存在しており、返済を滞納した場合には差し押さえられる可能性がありましたが、現在では年金を担保にした貸付けは禁止されています。
重要な注意点は、あくまでも上述の年金を「受け取る権利」を差し押さえることができないだけであり、年金が支払われた後の銀行口座の差し押さえは可能であるという点です。
以下、銀行口座が差し押さえられる仕組みと、銀行口座が差し押さえられた際の対応について説明します。
2 銀行口座が差し押さえられる仕組み
イメージしにくいことかもしれませんが、年金を受け取る権利と、銀行口座に既に振り込まれた年金は、法的には別の存在なのです。
差し押さえが禁止されているのは、あくまでも年金を受け取る権利であり、債権者が債務者の方に代わって年金を直接受け取れるようにすることはできない、というだけです。
年金が銀行口座に振り込まれると、銀行に対する預金債権というものになります。
そして、預金債権は差し押さえが禁止されていませんので、差し押さえられてしまう可能性があります。
3 銀行口座が差し押さえられた際の対応
年金を受給している方のなかには、年金だけを頼りに生活を維持しているという方も少なくないと考えられます。
銀行口座が差し押さえられてしまうと、生活ができなくなってしまいます。
そこで、このような場合には裁判所に対し、差し押さえの範囲変更の申立てという手続きを行うことができます。
この手続きにより、差し押さえを全部取り消してもらったり、差し押さえの範囲を減らしてもらうことになります。
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